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テクスチャマップにはさまざまな種類があり、それらを組み合わせることによってリアルな質感が生まれます。ここからは、各種テクスチャマップの特徴を見ていきましょう。
Diffuse(ディフーズ)やAlbedo(アルベド)とも呼ばれる、色を表現するためのマップです。こちらは織物生地のベースカラーマップですが、写真や画像のようなものであることが分かります。
法線マップとも呼ばれる、凹凸を表現するためのマップです。ノーマルマップはRGB(赤緑青)をベースに構成されており、面のXYZ方向を3色の強弱で示すことで、立体感が表現されます。
ノーマルマップをベースカラーマップと共に3Dオブジェクトに付加してみると、下の画像のように、生地の質感が追加されたことが確認できます。
ただし、凹凸感はあくまでも表面のみで、オブジェクトのエッジは平面のままであることが分かります。エッジにも凹凸感を与えるには、ディスプレイスメントマップという、また別の種類のマップを使用します。
3Dモデルの平坦な表面に対し、立体的な凹凸を加えるためのマップです。白から黒のグラデーションで表現され、ノーマルマップよりもさらに、リアルな立体感を表現できます。ディスプレイスメントマップを適用した結果を見てみるとエッジにも凹凸ができていることが分かります。
Opacity(オパシティ)とも呼ばれ、オブジェクトに透明の情報を与える場合に使用します。白黒で構成された画像で、白い部分は正常に表示され、黒い部分は完全に透明になります。透け感のある素材の場合は、アルファマップを付加することによって、よりリアルに仕上げることができます。
マテリアルの粗さを表現するマップで、白いエリアはザラザラした粗い表面、黒いエリアはツルツルと光沢のある表面になります。例えば、下の図のようなラメ糸が使用された織物の場合、ラメ糸が使用されていない部分は白色、ラメ糸が使用されている部分は黒色とエリアが分かれています。
反射強度の情報が含まれているマップで、Reflectance(リフレクタンス)やGloss(グロス)と呼ばれることもあります。アパレルの生地を扱ううえでは箔押しのようなアイテムやラメ表現などで使用することがあります。
テクスチャマップを使用することで、オブジェクトに質感を与え、リアルな見た目に仕上げられることが大きなメリットです。また、テクスチャマップの合成後は、それぞれのパラメータを調節することによって、凹凸感や光沢感を強めたり弱めたりするなど、自由自在に表現を変化させることができます。
テクスチャマップを使わずに3Dモデリングをおこなう場合、オブジェクトに凹凸感を付けるためにはメッシュの形状を手作業で変形させる必要があり、高度なテクニックと多大な時間を要します。また、高精細な表現をするためにメッシュの形状を細分化するとファイルサイズが大きくなり、作業効率が低下する可能性があります。テクスチャマップを使うことで、メッシュの分割や修正といった作業をしなくても、3Dモデルの表面に豊かな質感を持たせることができます。
テクスチャマップは簡単に作成や変更が可能です。異なる色や柄を使ったテクスチャマップを用意するだけで、オブジェクトの見た目を変えることができます。ファッション業界の場合、同じ製品で色違いや柄違いのバリエーションを多数作成することが一般的ですが、オブジェクトはそのままでテクスチャマップを変更してデザイン展開を作成することができるため、企画提案が容易になります。
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