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エコフレンドリーな素材とは?モノづくりをおこなう上で企業が取り組むべき地球環境にやさしい選択

作成者: wearware|2024/06/27 0:04:24

現在、地球環境は刻々と変化し、悪化の一途をたどっています。そんな中、サステナブルやアップサイクルなどといった言葉を筆頭に、近年では商品パッケージに「エコフレンドリー」と表記された製品が見られるようになりました。今回は、エコフレンドリーな取り組みから素材まで、モノづくりをおこなう上で企業ができる選択、そして消費者として個人ができる取り組みをご紹介します。

 

エコフレンドリーとは?

エコとは「生態学」を意味する「エコロジー(ecology)」からきており、エコフレンドリー(eco-friendly)は「環境や人、動物にやさしい」という意味を表しています。また、「経済」を意味する「エコノミー(economy)」のエコとも繋がっていて、環境問題を経済的にも解決していこうという意味も込められています。

 

ファッション業界でエコフレンドリーが注目される理由

アパレル・ファッション業界は、環境への負荷が大きいと指摘されています。以前は大量生産・大量廃棄のビジネスモデルが多かったのですが、今業界は変わりつつあります。そこで注目されているのがサステナブルやSDGs、エコフレンドリーといったキーワードです。

ファッション業界で販売されるアイテムの中には、使用する素材やその原料の生産、工賃などにも安さが求められることから、原料を生産する人たちを低賃金で雇うことで労働環境が悪くなったり、原料の栽培の手間暇を省くために化学肥料や農薬を使用して地球環境への悪影響が発生したりすることがあります。また、途上国などで安価に生産した素材を、製造のため別の工場に輸送し、さらにできあがった製品を世界中に輸送する際にも多くの温室効果ガスが排出されてきました。

 SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」では、生産から廃棄の過程において環境や人権・社会に配慮したモノづくりをおこない、同時に消費者への啓発も促しています。このようなアパレル業界におけるサステナブルな取り組みについて、詳しく解説した下記の記事もぜひご覧ください。

 

エコフレンドリーに取り組むアパレル企業の事例

まず、実際にエコフレンドリーに取り組んでいるアパレル企業の事例をご紹介します。

ユニクロ

衣料ブランドUNIQLOを国内外で展開する株式会社ファーストリテイリングは、環境への負荷を少しでも減らすためにさまざまな努力をしています。

1着のTシャツを製造するのに必要な水は2,720リットル、1着のジーンズを製造するのに必要な水は10,850リットルと言われている中、ユニクロはジーンズの加工時に使用する水を最大99%減らせる技術を開発しました。

また、「RE:UNIQLO(リ・ユニクロ)」というプロジェクトを発足し、全商品をリサイクルして新たな衣服や資材として活用する取り組みも始めました。店頭で自社商品の回収をおこない、リサイクルのほか、一部のアイテムは支援衣料としてリユースされています。

ユニクロ公式サイト(https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/planet/clothes_recycling/re-uniqlo/)より引用

例えば、ダウンジャケットから取り出した中綿を新たな商品に詰め替えて出荷することで、製造過程における二酸化炭素の排出量を20%削減しました。

 

プラダ

2019年にリュックの素材を再生ナイロン「エコニール」にリニューアル。エコニールを使用した製品を「プラダ リナイロン(Re-Nylon)」コレクションとして展開しています。エコニールは、海から集めたプラスチックの廃棄物や繊維廃棄物、漁網などを浄化したものを再利用した素材です。この再生ナイロンは何度でも再生できるうえに、温暖化への影響を80%カットし、1万トンのエコニール繊維につき石油を約1,200万リットル節約できます。

プラダ公式サイト(https://www.prada.com/jp/ja/womens/womens-collection/the-re-nylon-project/c/10549JP)より引用

 

クロエ

ラグジュアリーブランドの中で初となる「B Corp認証」を取得しました。B Corp認証とは、社会や環境に対する労働環境やパフォーマンスなどの300以上の基準をクリアした認証の一つです。クロエの特徴的な製品には、リサイクル素材を接着部分や靴紐に使用したスニーカーや、海洋ゴミをリサイクルして作られたサンダルなどがあります。

クロエ公式サイト(https://www.chloe.com/jp/chloe/shop-online/%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%B9/lower-impact-products)より引用

 

島精機製作所

株式会社島精機製作所は、BLUEKNIT(ブルーニット)という、循環型社会の実現に向けたニット専門のオンラインショッピングモールを運営しています。サステナブルな素材で作られたニット製品全般を取り扱っており、いらなくなった製品は島精機製作所が買戻し、必要に応じてリペアし、リセールします。リセールできない製品は島精機製作所が責任をもって、素材に応じた最適なリサイクル方法で再資源化をおこないます。

BLUEKNITは、地球環境に配慮し、心身に優しく、生産者を支え、エシカル社会を目指すという4つの観点をもとに、資源を循環させることに取り組むプラットフォームとして立ち上がりました。天然素材の割合が多く、リサイクルしやすいニットを通じたサーキュラーエコノミーへの貢献も果たしています。

さらに、ニットメーカーのD2Cの取組支援という形でもサポートしており、国内生産の割合を高めるといった目標も掲げています。

BLUEKNIT公式サイト(https://blueknit.jp/)より引用(下記サイト)

 

個人でできるエコフレンドリーな取り組み

ここまで企業側のエコフレンドリーな取り組みについて紹介してきましたが、私たち個人が一般生活の中でできるエコフレンドリーな取り組みにはどのようなことがあるでしょうか?

エコフレンドリーな暮らしの基本は、3Rを心がけることです。

1.Reduce(リデュース):減らす

長く着られる服を選んで大事にお手入れする、食品を買いすぎないようにして食品ロスを減らす、など

2.Reuse(リユース):再利用する

まだ使用できるものは捨てずに繰り返し使用する、着なくなった服は古着屋、フリマサイトに出店する、など

3.Recycle(リサイクル):再生利用する

再生素材を使用する、ペットボトルやカン・ビンなど再生可能なものをリサイクルに出す、など

その他にも、
  • Refuse(リフューズ):断る
  • Repair(リペア):修繕する
  • Recover(リカバー):回復させる
  • Return(リターン):戻す 
  • Rental(レンタル):借りる
  • Reform(リフォーム):つくり直す
  • Renewable(リニューアブル):再生可能な資源を使う
など、さまざまなRが提唱されています。
 
使用頻度の少ないフォーマルウェアや小物などはレンタルサービスを利用し必要最低限のものだけ購入する、環境に配慮した洗剤を利用して洗濯するなど、日々の生活の中で少しずつ工夫していくことでエコフレンドリーな暮らしに繋がります。

 

エコフレンドリーな製品の見つけ方

例えば身近なところで衣服やファッション製品は、どのようにしてエコフレンドリーかどうかを見分ければ良いのでしょうか?分かりやすい例としては、認証マークで判断することができます。認証マークには3つのタイプがあります。

タイプⅠ(ISO14024)第三者認証:独立した機関が厳正に審査し、合格した事業者や一部アイテムに対して与えられるもの

タイプⅡ(ISO14021)自己宣言:事業者が自ら判断し、環境に良いと宣言しているもの

タイプⅢ(SIO14025)環境情報表示:製品に関する環境負荷の定量データを示すもの

ここでは、タイプⅠ(ISO14024)第三者認証の例をいくつか紹介します。

GOTS

オーガニックな繊維製品を認証する国際基準。定められた基準を満たす生産、流通過程を経たオーガニック原料を使った糸、生地、衣料品などの繊維製品を証明するものです。原料だけでなく、サプライチェーン全体における環境負荷や人的配慮に対しても規定があります。
 
 
 

FSC

森の動植物や地域の人に配慮し、豊かな森を維持できるように管理された木材や、その木材が使われた製品であることを証明しています。森林管理を認証するFM認証と、加工・流通過程の管理を認証するCoC認証とで成り立ちます。
 
 
 
 

OEKO-TEX STANDARD 100

350を超える有害化学物質が対象となる分析試験にクリアした製品に与えられる、世界最高水準の安全な繊維製品の証として広く認知されている認証。有害化学物質を含まない認証品の採用は、消費者への安全確保はもちろん、労働者や環境の保護にも貢献します。

 

 BLUESIGN

スイスのブルーサイン・テクノロジーが運営管理する、繊維業界の環境保全、労働者・消費者の安全に関する基準。繊維製品の各生産段階で使われる糸や染料、織布などの材料から、人の健康や環境に悪影響を与えると考えられる全ての物質の除去を目的とし、最も厳格な環境・安全基準とされています。

 

 Associazione Tessile e Salute

この認証は、企業およびその生産チェーンが、イタリア・モード協会(Camera Nazionale della Moda italiana)のエコロジーおよび毒性防止に関する要求事項を満たすために、生産および毒性物質管理において適切かつ健康的な慣行を採用していることを保証するものです。

 

 EU Ecolabel

環境に優れていることを示す欧州連合(EU)の公式ラベル。EU Ecolabelの糸は、環境に配慮した方法で、安全で公正な労働条件のもと、持続可能な繊維から生産されています。有害な化学物質は最小限に抑えられ、品質と耐久性を保証するテストもされています。

 

 

 ethic-et

製造工程で有害物質や制限物質の使用を避け、環境への拡散や商品への使用を避けるために、製造チェーン全体で使用される化学物質の分析と評価をおこなうものです。この認証は、企業およびその生産チェーンが、健全で良好な慣行を採用していることを保証するものです。

 

 THE WOOLMARK COMPANY

ウールマーク認証プログラムは、ウールテキスタイルの品質および製品認証プログラムです。ウールは100%天然、再生可能で生分解性のあるエコ繊維です。ウール製品が厳密に品質検査されていることを認証します。

 

  • PURE NEW WOOL(ウールマーク):新毛を100%使用し、決められた品質基準を満たしている証明
  • WOOL RICH BLEND(ウールマークブレンド):新毛を50%99.9%使用し、決められた品質基準を満たしている証明
  • WOOL BLEND PERFORMANCE(ウールブレンド):新毛を30%49.9%使用し、決められた品質基準を満たしている証明

 

グリーンウォッシュに注意

グリーンウォッシュとは、エコなイメージに繋がる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語です。環境に配慮しているように見えるものの実際はそうではなく、環境意識の高い消費者に誤解を与えることを指します。

素材が一見環境にやさしそうでも、栽培地では森林破壊・生態系の撹乱に繋がる行為がおこなわれていたり、一部の商品はエコフレンドリーに相当するものの、同企業の他事業で環境破壊に繋がる行為がおこなわれていたりする場合もあります。このようなグリーンウォッシュを見抜くためにも、第三者機関による認証があるかどうかはひとつの判断基準となるのです。

 

エコフレンドリーな素材

エコフレンドリーなモノづくりや製品選びには、素材も重要です。天然繊維はもちろん、植物由来の化学繊維やリサイクル繊維も今注目を集めています。

天然繊維

オーガニックコットン

従来のコットン栽培では、農薬使用による土壌汚染や大量の水資源の消費などが問題になっていました。オーガニックコットンは化学肥料や農薬を一切使用せずに最小限の水を使って栽培されており、環境負荷が少ないのが特徴です。

 

カラーコットン

コットンといえば白いイメージがありますが、実は多くのコットンが漂白・着色されています。そこで、漂白や着色をしないコットン本来の茶色や緑色のカラーコットンがサステナブル素材として注目されています。

 

ウール

羊毛は最高級のメリノウールをはじめ、ブラックフェイスやドーセット、サウスダウン、チェビオットなど約40種類もあります。最もよく使用されるのはメリノ種で、素肌で感じられる素材の柔らかさ、耐久性、機能性に優れています。ウール繊維は廃棄されると大地に栄養を放出しながら数年かけて土の中で自然に分解されることから、エコフレンドリーな素材として知られています。

リネン

亜麻科植物草の靭皮(じんぴ)から採れるフラックスという繊維で作った糸や布のことを指します。ロシアやフランスを中心に栽培されており、連作を嫌うので同じ農地では6年に一度しか植えられません。日本の品質表示で麻と表示できるのは、リネンとラミーのみです。※ラミーは日本を含むアジア圏で古くから使われていた天然繊維で、リネンはヨーロッパで古くから使われてきました。

 

植物由来の化学繊維

リヨセル(テンセル)

ユーカリの木材パルプが原料の再生繊維です。繊維にする過程で再利用可能な溶剤を溶かして糸を作るため、環境への負荷も少ないのが特徴です。また、コットンに比べて栽培時の水の使用料を90%も削減でき、貴重な水資源を守ることができます。

モダール

ブナの木材パルプが原料の再生繊維で、有害な廃棄物を出さずに作られることから、自然と共存する合成繊維と言われています。強度が高く、吸湿性や放湿性に優れている一方、シルクのようななめらかな光沢や肌触りが特徴で、その柔らかさはコットンの2倍にもなります。

キュプラ

綿花を採取したあとの綿の種(コットンシード)の周囲についている、本来は繊維として利用しない26mmの産毛の部分(コットンリンター)を原料に作られた再生繊維です。柔らかくしなやかでドレープ性に富むのに加え、染色性が良いのが特徴です。

 

その他のリサイクル繊維

再生ポリエステル

ペットボトルを回収して粉砕し、糸や繊維として再生することで生地にしていきます。通常のポリエステル生地に比べて生産時に発生する石油の使用料を削減でき、二酸化炭素の排出量も抑えられます。軽くて耐久性に優れ、さらりとした肌触りが特徴です。

牛乳パック

牛乳パックをリサイクルして作られている糸もあります。例えばサステナブル素材ブランド「ReMateri®」が製造している「REPAC®」という糸は、1kgの糸製造あたり約233gのCO2排出量削減に貢献します。環境にやさしいのはもちろん、紙糸なのでサラッとした独特の肌触りに加え、吸水性と防臭性を兼ね備えています。

 

エコフレンドリーな糸の見つけ方

ここからは、企業やメーカーがエコフレンドリーな素材を使用したアパレル製品を作るために、実際の糸を探すことのできるサービスをご紹介します。yarnbank®は、世界中の糸を検索・閲覧できるウェブサービスです。さまざまな条件から環境に配慮した糸を見つけ出すことができます。さらに、第三者認証を指定して検索することもでき、認証番号や有効期限などの詳細もサイト上で閲覧できます。yarnbank®のサイトで検索することができる第三者認証は10種類あります。(※検索条件によってはヒットしない可能性があります。)

また、気に入った糸があれば糸データをダウンロードし、デザインソフトAPEXFiz®でリアルなバーチャルサンプルを作成することもできますので、素材だけでなくモノづくりの工程までサステナブルにおこなえます。

yarnbank®についてはこちらの記事で詳しく解説されています。

 

いかがでしたか?エコフレンドリーな社会を築いていくためには、事業者がモノづくりやサービスの提供をおこなう際に環境に配慮した上で、私たち個人も日々の暮らしの中で環境にやさしい選択を心がけていくことが必要不可欠です。商品の企画から消費に至るまでエコフレンドリー素材を意識し、持続可能な未来に繋げていきましょう。