皆さん、こんにちは。ファッション・アパレル業界の未来を救うお役立ちサイトwearware(ウェアウェア)です。
ファッション業界はデジタル化が遅れている。ずっとそう言われてきた中で、近年急速にデジタル化が進み、実際には着られないデジタルファッションが脚光を浴びているのをご存じでしょうか?
多くのラグジュアリーブランドも参入しているデジタルファッションは、これからのファッションの在り方を大きく変える重要なものとなっています。
こちらの記事では、デジタルファッションとはどんなものか、活用法やどこで買えるのか、デジタルファッションには欠かせないメタバースやNFTについても解説していきます!

目次
- デジタルファッションとは?
・有名デジタルファッションブランド3選
・日常と化したSNSでの発信
・コロナ禍でのファッション事情
・デジタルファッションはサステナブル - デジタルファッションの活用例
・デジタルファッションショー
・デジタルショールーム
・メタバースでの活用
・デジタルコレクション - デジタルファッションの鍵をにぎるNFT!
・最近あちこちでよく耳にするNFTとは?
・ファッションをNFTにするメリットは?
・ラグジュアリーブランドが次々に参入
・NFTファッションの作り方 - デジタルファッションを体験しよう
・XR Couture
・DRESSX
・WANNA - デジタルファッションに必要なバーチャルサンプルの作り方
・3ds Max
・Maya
・Blender
・CLO3D
・Browzwear
・APEXFiz®
・COUTURE - デジタルが変えるファッションの未来とは?
デジタルファッションとは?
デジタルファッションとは、現実世界で着用するものではなく、ゲームやSNS、メタバースなどのバーチャル空間上で使用可能な衣服や靴、アクセサリーなどを指します。自分の写真や映像にデジタルフィッティングして楽しむこともでき、現物を作らずデジタルでしか存在しないアイテムを扱うブランドもあります。まずは3つの有名ブランドを通じてデジタルファッションがどのようなものかご紹介します。
有名デジタルファッションブランド3選
The Fabricant(ファブリカント)

The Fabricant公式サイト(https://www.thefabricant.com/)より
オランダ・アムステルダムに拠点を置く世界初のデジタルファッションブランドで、2019年に世界で初めてデジタルファッションのオートクチュールコレクションを発表。デジタル限定の高級ドレス「Iridescence Dress」はNFTオークションで1万ドルで落札されました。現在は、AIを活用したデザイン制作にも取り組み、デジタルファッション業界を牽引しています。
Tribute(トリビュート)

Tribute Instagram(https://www.instagram.com/tribute_brand/)より
2020年に設立されたTribute Brandは、世界初のD2Cデジタルファッションレーベルです。コロナ禍におけるSNSや仮想空間での需要拡大を受け、実物を作らないサステナブルなファッションを展開し始めました。現在では実物でのコレクションも展開し、無駄を最小限に抑えることをテーマに制作をおこなっています。ARで着用可能なデジタルファッション、デジタルアバター、クリエイター向けのダウンロード可能な3Dアセットなど、バーチャルとリアルの両方の衣服を制作しています。
RTFKT(アーティファクト)

RTFKT公式サイト(https://rtfkt.com/)より
販売開始7分で310万ドル(約3億3480万円)の売り上げを記録したRTFKTは、2020年に3人のクリエイターによって創設され、バーチャルスニーカーを中心としたデジタルファッションコンテンツを展開していました。創業から2年でNFT業界での地位を確立し、NIKEに買収されたことでNFT業界だけでなく、ファッション業界からも一躍注目を集めました。しかし、2024年12月にNIKEはRTFKT事業の終了を発表して大きな話題となり、2025年1月末で終了しています。
これら以外にも多くのデジタルファッションブランドが存在します。記事の後半では実際にどのようにデジタルファッションを体験できるのかも説明していきます。
日常と化したSNSでの発信

デジタルファッションが台頭してきた背景として、個人の情報を手軽に発信できるSNSの存在は大きいと言えます。SNSに写真をアップするために服を買い、写真を撮ったら手放すという人たちにとって、Tributeのような安価で見栄えのするデジタルファッションブランドは最適なファッションといえます。VRやARの技術も進歩している今、バーチャル空間でのコミュニケーションも進み、メタバース上のSNSも人気となっています。自身のアバターに着せる服としてもデジタルファッションが注目されています。
コロナ禍でのファッション事情
さらに、コロナの影響もデジタルファッションを加速させた大きな要因と言えるでしょう。2020年から始まった外出規制により、オシャレをして出かける機会が減り、洋服への高級志向が薄くなった方もいると言われています。仕事は在宅になり、オンラインでのミーティング、メタバースなどバーチャルな世界でのつながりが増えていることで、コロナ禍前後ではファッションの在り方がガラリと変わりました。また、コロナをきっかけに生活者のサステナビリティへの意識は急速に高まっており、社会や企業のあるべき姿にも大きな影響を与えています。
デジタルファッションはサステナブル
デジタルファッションは、従来のファッション産業に比べて環境に優しいとされています。アパレル産業は国連の統計によると、すべての産業の中で2番目に多くの環境汚染を生み出しているそうですが、デジタルファッションは実際の服を作るために必要な繊維や素材を使用しないため製造工程での汚染が全く発生せず、包装や輸送も必要ないので、環境負荷が少ないのです。究極のサステナブルファッションですね。
ファッションにおけるサステナブルについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください!
サステナブルファッションとは? 業界の問題から企業の取り組み、個人ができることまで全部紹介
ファッション・アパレル業界における「サステナブルファッション」の取り組みについてご紹介します。地球環境や自然環境を守り、これからも継続的に発展していける社会の実現を目指すために、今、私たち全員に必要な活動です。
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デジタルファッションの活用例
では実際にどのような形でデジタルファッションが活用されているか、ファッションショー、NFT、メタバースなどでの例をあげて紹介していきます。
デジタルファッションショー
毎年アパレルブランドが発表する、ファッションショー。コロナ禍で実際のファッションショーをおこなうことが出来なかった多くのブランドが、デジタルで見せる方法を模索しました。現実には存在しない場所でのショーも可能になり、配信すれば物理的な服と比較して海外への展開もはるかに簡単。ブランドの世界観を表現する幅が広がるという利点も上げられます。デジタルのファッションショーは動画で楽しむだけではなく、VRやARを使って没入感のある体験もおこなえます。
デジタルショールーム

H&Mデジタルショップ CEEK Twitter(https://twitter.com/CEEK/)より
実物がなくてもデザインを見られるのが、デジタルファッションの良いところ。デジタルショールームではバーチャル空間に商品が並んでいて、お店に行かなくても好きなブランドの洋服を楽しめます。色違いや柄違いも画面上で確認することができるので、実際の商品のSKUをすべてそろえる代わりにバリエーションはデジタルで見せるという使い方をすることで、サステナブルなモノづくりも可能になります。
メタバースでの活用

Metaverse Fashion Week 2025公式サイト(https://mvfw.org)より
メタバースとはインターネット上の仮想空間のことで、自分のアバターを作成して他のユーザーと交流したり、非現実的な体験をしたりできます。身近な例として人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」などが挙げられます。最近では、2024年に「Coach」がゲームプラットフォーム「Roblox/ZEPETO」で春のコレクションをデジタルアイテムで提供したり、2025年4月に開催された「Metaverse Fashion Week 2025」では数多くのブランドが仮想ランウェイ・アバター用ウェアラブル・AIスタイリングを発表するなど、ファッションブランドのメタバース参入がますます拡大しています。
メタバースとファッションのコラボがアパレル業界の常識をくつがえす!ブランドの事例もご紹介
今メタバースは、仲間とコミュニケーションをとる、仕事をする、買い物をするといった生活の場として広がりを見せています。メタバースとファッションのクリエイティブなコラボレーションについて、事例を交えながら人気の秘訣を探ります。
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デジタルファッションの鍵をにぎるNFT!
デジタルファッションはデジタルである以上、通常は簡単にコピーして複製することが可能なため、価値や信頼性を保つことが困難です。NFTを活用することでリアルの服と同様に希少性や唯一性を証明・確認することができます。
最近あちこちでよく耳にするNFTとは?

NFTとは、「Non-Fungible Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と訳されるデジタル資産のことです。ブロックチェーンという改ざんが難しい技術を用いて、デジタルデータの所有権と唯一無二の価値を証明する仕組みです。2021年の3月Twitter社の共同創業者であるジャック・ドーシー氏の最初のツイートがおよそ291万ドル(当時のレートで約3億1500万円)で販売されたことで爆発的に話題となりました。そして2025年現在では、NFT市場は初期のアートやコレクタブルの熱狂フェーズから、新たに実用性(ユーティリティ)を備えたNFTやチェーン間相互運用/AIとの融合(例:ビットコイン上のOrdinal NFTなど)といったトレンドへと移行しつつあります。
ファッションをNFTにするメリットは?

NFT販売サイトOpensea公式サイト(https://opensea.io/)より。
NFTはコピー可能なデジタルデータに本物の証明を付け、希少性を持たせることができるので、デジタルな存在でありながら二次販売が成り立ちます。これまで一次販売以降に中古が売買されても、作り手(デザイナーやアーティスト)には利益がありませんでしたが、NFTを使うことで二次販売でもマージンが入る仕組みが可能となりました。
またブランドのコピー品問題は昔から後を絶ちませんが、NFTを活用することで本物の証明ができ、偽造防止にもつながります。
ラグジュアリーブランドが次々に参入

NFT eviningサイト(https://nftevening.com/)より
そんなメリットのあるNFTに、多くのラグジュアリーブランドが参入しています。ルイ・ヴィトンは、ゲームアプリ「LOUIS THE GAME」を通じて限定のデジタルポストカードNFTを発行し、2023年には「VIA Treasure Trunks」というフィジカルとデジタルが連動した(phygital)NFTコレクションをリリースしました。GucciもNFTやメタバース領域に注力しており、デジタルウェアラブルや仮想アイテムなど、ブランド体験を拡張する取り組みを進めています。
このほか、ドルチェ&ガッバーナ、バレンシアガ、プラダ、ブルガリ、カルティエ、ティファニー、ナイキなど、数多くのブランドがNFTやメタバースを活用した新しいファッション体験を打ち出しています。
NFTファッションの作り方
NFTファッションは、デジタルデータとして作成されたファッションアイテムにNFTを結びつける必要があり、まずは2Dの画像や3Dデータを準備します。デジタルデータは、OpenSeaやRaribleといったマーケットプレイスで登録、出品することで売買が可能になります。デジタルデータを作成する際には、グラフィックソフトウェアや3Dモデリングソフトウェアを使用します。
デジタルファッションを体験しよう
デジタルファッションがどういうものか説明してきましたが、実際に体験するにはどうすればよいかご紹介していきます。
XR Couture(エックスアールクチュール)

XR Couture公式サイト(https://xrcouture.com/)より
かつて、XR Coutureでは、バーチャルな洋服を購入すると、自分の写真を送って合成してもらえるサービスを展開していました。現在は、アバターやメタバース向けの3Dウェアラブルを制作しており、複数の仮想プラットフォームで利用できるデジタルファッションとして提供されています。
DRESSX(ドレスエックス)

DRESSX公式サイト(https://dressx.com/)より
ロサンゼルスを拠点とするデジタルファッションストアであり、デジタル・オンリーの衣服、NFTファッションアイテムを提供しています。アプリを使うと、AR機能で3Dの服を自分の映像に重ねることができ、リアルタイムでデジタルファッションの試着がおこなえます。
WANNA(ワナ)

WANNA Virtual Try-On公式サイト(https://wanna.fashion/footwear)より
WANNA は、ファッションアイテムを中心に、 3DやAR(拡張現実)技術を活用したバーチャル試着「WANNA Virtual Try-On」を提供するプラットフォームです。ユーザーはスマートフォンやカメラを通じて、靴・バッグ・アクセサリーなどを実際に身に着けたようなリアルに近い表示で試すことができます。バレンティノ、バレンシアガなど多くのラグジュアリーブランドがWANNAのサービスを導入し、ブランド独自のバーチャル試着体験を提供しています。
デジタルファッションに必要なバーチャルサンプルの作り方
デジタルファッションを自分でも作ってみたいという方に向けて、ここからは3Dのデジタルファッション用データを作成できるソフトを紹介していきます。
バーチャルサンプルと呼ばれるデジタルファッション用データについて知りたい方は下記もご覧ください。
アパレル・ファッション業界の救世主、バーチャルサンプルとは?
サンプリングの時間とコストが削減できて、ファッション・アパレル業界をサステナブルにする切り札的存在『バーチャルサンプル』についてご紹介していきます。
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3ds Max(3dsマックス)

AUTODESK 3ds Max公式サイト(https://www.autodesk.co.jp/products/3ds-max/)より
3ds Maxは、Autodesk社が販売する高機能な3DCGソフトウェアであり、主にゲームや映画、モーショングラフィックス制作の現場で3Dモデリングやレンダリングをするために使用されています。また、「鬼滅の刃」などのアニメーション作品や建設業界でも広く使用されています。
Maya(マヤ)

AUTODESK Maya 公式サイト(https://www.autodesk.co.jp/products/maya/)より
Mayaは、Maxと同じAutodesk社が開発したモデリングやリギング、レンダリングなど3DCG制作におけるすべての工程を完結できる3DCGソフトウェアで、世界的アニメーション企業でも採用されるほどの高い機能性を誇っています。幅広いユーザーに利用されており、3DCG制作ソフトウェアの中では最もシェアが高くなっています。
Blender(ブレンダー)

Blender公式サイト(https://www.blender.org/)より
Blenderは、3DCG制作ができるフリーでオープンソースな総合3DCGソフトです。モデリングからアニメーション、静止画の制作まで幅広くカバーしており、3ds Max やMayaなどのプロ向けの3DCG制作ソフトにも勝る機能が豊富に備えられているため、急速に発展していると言われています。
CLO3D(クロ3D)

CLO3D公式サイト(https://www.clo3d.com/ja/)より
CLO3Dは韓国の会社が開発したアパレル製品向けの3Dデザインソフトです。
実物作成前にアイデアを形にすることができ、市場投入までの時間とコストを削減することができます。アパレル業界で使われているアパレル用のCADデータ(東レが提供している「パターンマジックⅡ」など)とも互換性があります。
洋服を作る際には、パターン(型紙)から洋服のパーツを作成し、それを立体に組み立てることで、洋服の形になります。実際に布を用意して作業するのではなく、バーチャル上で組み立てていくのがアパレル製品向けの3Dデザインソフトです。
Browzwear(ブラウズウェア)

Browzwear公式サイト(https://browzwear.com/)より
Browzwearも、アパレル業界向けの3Dファッションデザインソフトです。体形や姿勢などを設定できるアバターを利用して、詳細な生地データとCADデータをもとに高品質な3Dイメージを作成することで、画面上で商品開発が可能になります。
APEXFiz®(エイペックスフィズ)

APEXFiz公式サイト(https://www.shimaseiki.co.jp/fiz)より
続いてAPEXFiz®も、アパレル業界向けの3Dデザインソフトとなっており、日本の島精機製作所が開発しています。CLO3DやBrowswearのように製品の3Dイメージを作成できますが、あわせて生地のシミュレーションが可能なことが特徴となっています。デザインした生地は画面上で本物の糸を使ってシミュレーションすることができるので大変リアルで、作成したデータは機械用の生産データに変換して利用できるためモノづくりに直結します。
リアルなバーチャルサンプルはこれで決まり!企画から生産、ECへの活用まで幅広く役立つデザインソフトAPEXFiz®とは?
ファッション・アパレルの商品を企画する際、どんなソフトを使っていますか? CLO3D、Browzwear、Optitexをはじめ、おなじみAdobeなど、さまざまなソフトがありますよね。今回は、企画から生産、ECへの活用まで幅広く役立つデザインソフトAPEXFiz®をご紹介します。
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COUTURE(クチュール)

COUTUREファッションオンデマンドアプリ App Store(https://apps.apple.com/jp/app/)より
いくつか紹介してきたソフトは3Dの本格的なものですが、COUTURE(クチュール)はスマホアプリで簡単に洋服のデザインをおこなうことができます。シルエットと柄を選んだら画面ですぐにデザインを確認することができ、実際の商品まで作成可能となっています。
デジタルが変えるファッションの未来とは?
いかがでしたか?ここまで読んでいただいた方は、デジタルファッションが未来のファッションに大きな影響を与えると感じたのではないでしょうか。
2022年には初めてメタバースファッションウィークが開催されたことで、メタバースとファッションの連携が一気に注目されました。現在、多くのブランドがデジタルファッションに参入し、バーチャル空間でのファッションが急速に多様化しています。同時に、現実世界で洋服を購入した際にデジタルアイテムも入手できる、もしくはデジタルアイテムを購入すると物理的な洋服を入手できる「フィジタル(phygital)」モデルや、デジタル技術を使ってユーザーの体型・好みに合わせたカスタマイズ洋服が提供される動きも顕著です。
これからのアパレル業界を語るうえで、デジタルファッションは切っても切れないキーワードになりそうです。
wearwareはファッションデザインのデジタル化を応援しています。
次回の更新もお楽しみに!
