デジタルファッションとは何か?活用法や入手方法、メタバースやNFTについても解説!

2023/04/21 15:42:49


皆さん、こんにちは。ファッション・アパレル業界の未来を救うお役立ちサイトwearware(ウェアウェア)です。

ファッション業界はデジタル化が遅れている。ずっとそう言われてきた中で、近年急速にデジタル化が進み、実際には着られないデジタルファッションが脚光を浴びているのをご存じでしょうか?
多くのラグジュアリーブランドも参入しているデジタルファッションは、これからのファッションの在り方を大きく変える重要なものとなっています。
こちらの記事では、デジタルファッションとはどんなものか、活用法やどこで買えるのか、デジタルファッションには欠かせないメタバースやNFTについても解説していきます!

デジタルファッションとは何か?

 

デジタルファッションとは?

デジタルファッションとは、現実世界で着用するものではなく、ゲームやSNS、メタバースなどのバーチャル空間上で使用可能な衣服や靴、アクセサリーなどを指します。自分の写真や映像にデジタルフィッティングして楽しむこともでき、現物を作らずデジタルでしか存在しないアイテムを扱うブランドもあります。最近は多くの有名ブランドがデジタルファッションに参入しています。まずは3つの有名ブランドを通じてデジタルファッションがどのようなものかご紹介します。

有名デジタルファッションブランド3選 

The Fabricant(ファブリカント)

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The Fabricant公式サイト(https://www.thefabricant.com/)より

オランダ・アムステルダムに拠点を置く世界初のデジタルファッションブランドで、2019年に世界で初めてデジタルファッションのオートクチュールコレクションを発表し、以降デジタルファッション業界を牽引しています。デジタル限定の高級ドレス「Iridescence Dress」は、NFTのオークションにて1万ドルで落札されました。

Tribute(トリビュート)

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Tribute Instagram(https://www.instagram.com/tribute_brand/)より

3Dモデリングやコーディング経験者たちが集まって2020年に立ち上げたデジタルファッションブランドであり、非接触型のサイバーファッションを提供しています。コロナ禍で外に出られず、SNSへアップするためだけに洋服を購入している若者が増えていることに気づき、実物を作らないサステナブルなファッションを始めました。

RTFKT(アーティファクト)

RTFKT

RTFKT公式サイト(https://rtfkt.com/)より

販売開始7分で310万ドル(約3億3480万円)の売り上げを記録したRTFKTは、2020年に3人のクリエイターによって創設され、バーチャルスニーカーを中心としたデジタルファッションコンテンツを展開しています。創業から2年でNFT業界での地位を確立し、NIKEに買収されたことでNFT業界だけでなく、ファッション業界からも一躍注目を集めました。


これら以外にも多くのデジタルファッションブランドが存在します。記事の後半では実際にどのようにデジタルファッションを体験できるのかも説明していきます。

 

日常と化したSNSでの発信

sns

デジタルファッションが台頭してきた背景として、個人の情報を手軽に発信できるSNSの存在は大きいと言えます。SNSに写真をアップするために服を買い、写真を撮ったら手放すという人たちにとって、Tributeのような安価で見栄えのするデジタルファッションブランドは最適なファッションといえます。VRやARの技術も進歩している今、バーチャル空間でのコミュニケーションも進み、メタバース上のSNSも人気となっています。自身のアバターに着せる服としてもデジタルファッションが注目されています。

 

コロナ禍でのファッション事情

さらに、コロナの影響もデジタルファッションを加速させた大きな要因と言えるでしょう。2020年から始まった外出規制により、オシャレをして出かける機会が減り、洋服への高級志向が薄くなった方もいると言われています。仕事は在宅になり、オンラインでのミーティング、メタバースなどバーチャルな世界でのつながりが増えていることで、コロナ禍前後ではファッションの在り方がガラリと変わりました。また、コロナをきっかけに生活者のサステナビリティへの意識は急速に高まっており、社会や企業のあるべき姿にも大きな影響を与えています。

 

デジタルファッションはサステナブル

デジタルファッションは、従来のファッション産業に比べて環境に優しいとされています。アパレル産業は国連の統計によると、すべての産業の中で2番目に多くの環境汚染を生み出しているそうですが、デジタルファッションは実際の服を作るために必要な繊維や素材を使用しないため製造工程での汚染が全く発生せず、包装や輸送も必要ないので、環境負荷が少ないのです。究極のサステナブルファッションですね。

ファッションにおけるサステナブルについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください!

 

 デジタルファッションの活用例

では実際にどのような形でデジタルファッションが活用されているか、ファッションショー、NFT、メタバースなどでの例をあげて紹介していきます。

デジタルファッションショー

毎年アパレルブランドが発表する、ファッションショー。コロナ禍で実際のファッションショーをおこなうことが出来なかった多くのブランドが、デジタルで見せる方法を模索しました。現実には存在しない場所でのショーも可能になり、配信すれば物理的な服と比較して海外への展開もはるかに簡単。ブランドの世界観を表現する幅が広がるという利点も上げられます。デジタルのファッションショーは動画で楽しむだけではなく、VRやARを使って没入感のある体験もおこなえます。

 

 デジタルショールーム

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H&Mデジタルショップ CEEK Twitter(https://twitter.com/CEEK/)より

実物がなくてもデザインを見られるのが、デジタルファッションの良いところ。デジタルショールームではバーチャル空間に商品が並んでいて、お店に行かなくても好きなブランドの洋服を楽しめます。色違いや柄違いも画面上で確認することができるので、実際の商品のSKUをすべてそろえる代わりにバリエーションはデジタルで見せるという使い方をすることで、サステナブルなモノづくりも可能になります。 

 

 メタバースでの活用

Gucci

Gucci公式サイト(https://www.gucci.com/jp/)より

メタバースとはインターネット上の仮想空間のことで、自分のアバターを作成して他のユーザーと交流したり、非現実的な体験をしたりできます。身近なところで言うと人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」などもメタバースです。バレンシアガ(Balenciaga)は「フォートナイト」で使えるスキンとフード付パーカーを販売し、グッチ(Gucci)はゲームプラットフォームの「ロブロックス」で限定版のアクセサリーの販売やバーチャル空間を公開しています。2022年にはドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)、エトロ(Etro)、トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)など50ブランドが参加したメタバースファッションウィークが開催されるなど、多くのファッションブランドがメタバースに参入しています。

 

 デジタルコレクション

デジタルコレクションとは、NFTを用いて作成された衣服やアクセサリーなどのデジタルアイテムのことを指します。次の章で少し説明していきますが、コピー可能なデジタルデータにおいて本物を証明できる技術がNFTです。これらのアイテムは、所有権がブロックチェーン上に記録されるため、独自性や希少性が高く、コレクションとして所有することができます。

 

デジタルファッションの鍵をにぎるNFT!

デジタルファッションはデジタルである以上、通常は簡単にコピーして複製することが可能なため、価値や信頼性を保つことが困難です。NFTを活用することでリアルの服と同様に希少性や唯一性を証明・確認することができます。

最近あちこちでよく耳にするNFTとは?

NFT

「NFT」のキーワード検索ボリュームは2020年12月から2021年12月までの1年で180倍にも増えたとされています。急速に流行ワードになったNFTですが、2021年の3月Twitter社の共同創業者であるジャック・ドーシー氏の最初のツイートがおよそ291万ドル(約3億1500万円)で販売されたことで爆発的に話題となりました。
ブロックチェーンという改造や改ざんが難しい技術を用いて作られており、デジタルデータに唯一無二の価値を与えることができるとされています。アートや、音楽、ファッション、また最近では卒業証書や修了書などの証明書としても活用されています。

 

ファッションをNFTにするメリットは?

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NFT販売サイトOpensea公式サイトhttps://opensea.io/)より。

NFTはコピー可能なデジタルデータに本物の証明を付け、希少性を持たせることができるので、デジタルな存在でありながら二次販売が成り立ちます。これまで一次販売以降に中古が売買されても、作り手(デザイナーやアーティスト)には利益がありませんでしたが、NFTを使うことで二次販売でもマージンが入る仕組みが可能となりました。
またブランドのコピー品問題は昔から後を絶ちませんが、NFTを活用することで本物の証明ができ、偽造防止にもつながります

 

ラグジュアリーブランドが次々に参入

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LOUIS VUITTONのブロックチェーンスマホゲーム。App Storehttps://apps.apple.com/jp/app/louis-the-game/id1574401807)より

そんなメリットのあるNFTに、多くのラグジュアリーブランドが参入しています。ルイ・ヴィトンは、生誕200年を記念して「LOUIS THE GAME」というブロックチェーンスマホゲームをリリースし、抽選でNFTポストカードが当たるキャンペーンをおこないました。グッチはNFTに最も力を入れているハイブランドで、GUCCI (EST. 1921)などのNFTコレクションをいくつか展開しており、メタバースであるサンドボックス上にバーチャルな土地を購入したことも話題になりました。ドルチェ&ガッバーナ、バレンシアガ、プラダ、ブルガリ、カルティエ、ティファニー、ナイキなど、他にも多くのブランドが参入しています。

 

NFTファッションの作り方

NFTファッションは、デジタルデータとして作成されたファッションアイテムにNFTを結びつける必要があり、まずは2Dの画像や3Dデータを準備します。デジタルデータは、OpenSeaやRaribleといったマーケットプレイスで登録、出品することで売買が可能になります。デジタルデータを作成する際には、グラフィックソフトウェアや3Dモデリングソフトウェアを使用します。


デジタルファッションを体験しよう

デジタルファッションがどういうものか説明してきましたが、実際に体験するにはどうすればよいかご紹介していきます。

XR Couture(エックスアールクチュール)

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XR Couture公式サイト(https://xrcouture.com/)より

サイトを訪れると、サイバーな洋服が並んでいるXR Couture。好きな洋服を選んで購入したら、服を着せてもらいたい自分の写真を送ると、合成された画像が送り返されてくるのです。実際にはあり得ない炎のついた洋服などは、SNSに画像をアップするのに十分なインパクトです。最初の章で紹介した、デジタルファッションブランドのTributeも同様に、デジタルの洋服を購入したら、自身の写真に着せてもらえるサービスがあります。

 

DRESSX(ドレスエックス)

DRESSX

DRESSX公式サイト(https://dressx.com/)より

ロサンゼルスを拠点とするデジタルファッションストアであり、デジタル・オンリーの衣服、NFTファッションアイテムを提供しています。アプリを使うと、AR機能で3Dの服を自分の映像に重ねることができ、リアルタイムでデジタルファッションの試着がおこなえます。

 

デジタルスニーカー「RTFKT(アーティファクト)」

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RTFKT公式サイト(https://rtfkt.com/)より

RTFKTのスニーカーはNFTとして販売されるだけでなく、フィジカルのスニーカーやスナップチャットのARフィルターで履くことができる機能もあります。RTFKTのサイトにある"TRY THEM ON"からQRコードを読み取って試着してみてください。

 

VR-knit.com(VRニットドットコム)

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VR-knit.com公式サイト(https://www.vr-knit.com/jp/)より

ニットのデジタルシミュレーション生地を画面上で確認したり、ARでデジタルマネキンを自分の横に並べて写真を撮ったりできます。大変リアルなニットのシミュレーションを確認できるので、デジタルデータで確認して、実際の商品を購入という流れにも利用することができ、サステナブルな取り組みを実現できます

 

デジタルファッションに必要なバーチャルサンプルの作り方

デジタルファッションを自分でも作ってみたいという方に向けて、ここからは3Dのデジタルファッション用データを作成できるソフトを紹介していきます。

バーチャルサンプルと呼ばれるデジタルファッション用データについて知りたい方は下記もご覧ください。

 

3ds Max(3dsマックス)

3DsMax

AUTODESK 3ds Max公式サイト(https://www.autodesk.co.jp/products/3ds-max/)より

3ds Maxは、Autodesk社が販売する高機能な3DCGソフトウェアであり、主にゲームや映画、モーショングラフィックス制作の現場で3Dモデリングやレンダリングをするために使用されています。また、「鬼滅の刃」などのアニメーション作品や建設業界でも広く使用されています。

 

Maya(マヤ)

Maya

AUTODESK Maya 公式サイト(https://www.autodesk.co.jp/products/maya/)より

Mayaは、Maxと同じAutodesk社が開発したモデリングやリギング、レンダリングなど3DCG制作におけるすべての工程を完結できる3DCGソフトウェアで、世界的アニメーション企業でも採用されるほどの高い機能性を誇っています。幅広いユーザーに利用されており、3DCG制作ソフトウェアの中では最もシェアが高くなっています。

 

Blender(ブレンダー)

Blender

Blender公式サイト(https://www.blender.org/)より

Blenderは、3DCG制作ができるフリーでオープンソースな総合3DCGソフトです。モデリングからアニメーション、静止画の制作まで幅広くカバーしており、3ds Max やMayaなどのプロ向けの3DCG制作ソフトにも勝る機能が豊富に備えられているため、急速に発展していると言われています。

 

CLO3D(クロ3D)

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CLO3D公式サイト(https://www.clo3d.com/ja/)より

CLO3Dは韓国の会社が開発したアパレル製品向けの3Dデザインソフトです。
実物作成前にアイデアを形にすることができ、市場投入までの時間とコストを削減することができます。アパレル業界で使われているアパレル用のCADデータ(東レが提供している「パターンマジックⅡ」など)とも互換性があります。

洋服を作る際には、パターン(型紙)から洋服のパーツを作成し、それを立体に組み立てることで、洋服の形になります。実際に布を用意して作業するのではなく、バーチャル上で組み立てていくのがアパレル製品向けの3Dデザインソフトです。

 

Browswear(ブラウズウェア)

Browswear

Browzwear公式サイト(https://browzwear.com/)より

Browzwearも、アパレル業界向けの3Dファッションデザインソフトです。体形や姿勢などを設定できるアバターを利用して、詳細な生地データとCADデータをもとに高品質な3Dイメージを作成することで、画面上で商品開発が可能になります。

 

APEXFiz(エイペックスフィズ)

APEXFiz

APEXFiz公式サイト(https://www.shimaseiki.co.jp/fiz)より

続いてAPEXFizも、アパレル業界向けの3Dデザインソフトとなっており、日本の島精機製作所が開発しています。CLO3DやBrowswearのように製品の3Dイメージを作成できますが、あわせて生地のシミュレーションが可能なことが特徴となっています。デザインした生地は画面上で本物の糸を使ってシミュレーションすることができるので大変リアルで、作成したデータは機械用の生産データに変換して利用できるためモノづくりに直結します。

 

COUTURE(クチュール)

COUTURE

COUTUREファッションオンデマンドアプリ App Store(https://apps.apple.com/jp/app/)より

いくつか紹介してきたソフトは3Dの本格的なものですが、COUTURE(クチュール)はスマホアプリで簡単に洋服のデザインをおこなうことができます。シルエットと柄を選んだら画面ですぐにデザインを確認することができ、実際の商品まで作成可能となっています。

 

デジタルが変えるファッションの未来とは?

いかがでしたでしょうか。ここまで読んでいただいた方は、デジタルファッションが未来のファッションに大きな影響を与えると感じたのではないでしょうか。

2022年には初めてメタバースファッションウィークが開催されるなど、メタバースとファッション全体でさまざまな動きが見られました。今後も各ブランドがデジタルファッションに参入し、バーチャル空間でのファッションも多様になる一方で、デジタルとフィジカルの融合により、メタバース空間で手に入れた洋服は現実世界でも手に入るという流れも出てくるでしょう。また、デジタル技術を使って体型や好みに合わせた服を提供することも可能になり、より個人的でカスタマイズされたファッションが広まるかもしれません。

これからのアパレル業界を語るうえで、デジタルファッションは切っても切れないキーワードになりそうです。

wearwareはファッションデザインのデジタル化を応援しています。

次回の更新もお楽しみに!

Tags: バーチャルサンプル

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