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デザイン企画のデジタル化プロジェクトを立ち上げるには? ―成功事例から学ぶ、社内でのバーチャルサンプル運用の始め方―

作成者: wearware|2021/11/26 4:43:16

デザインの企画から生産までを一気通貫でおこなう際に、デジタルを駆使することでいかに効率よくモノづくりを進められるかについて、前回の記事でご紹介しました。とはいえ、社内のワークフローが従来通りのままでは、脱アナログ化が容易くないことも実感されているのではないでしょうか。シリーズ全6回でお送りするファッション業界のデジタル化を促進するためのソリューション、第3回目の今回は、バーチャルサンプルの運用を開始するにはどういった手順で進めると良いか、成功事例を交えながらご紹介していきます。

当記事の内容は、島精機製作所が主催のウェビナーを参考にしています。
全6回のウェビナー動画の閲覧と資料のダウンロードは下記サイトよりお申込みいただけます。
 
 
 

社内のワークフローにバーチャルサンプルを取り入れるには?

デザイン企画におけるバーチャルサンプルの作成には、SDS®-ONE APEXシリーズのデザインソフトがおすすめです。SDS®-ONE APEXシリーズを用いてバーチャルサンプリングを社内のワークフローに取り入れ、サンプリングのコスト削減やリードタイムの短縮を実現していくには、どのようなプロセスでプロジェクトを進めていくのがスマートでしょうか。今回はデザイナーやパターンナーが複数いるようなアパレル企業を例に、プロジェクト立ち上げの流れを見ていきましょう。

なお、本記事の概要を今すぐ知りたい方は、下記よりダウンロードしてご覧ください。 

 
また、本編でご紹介しているバーチャルサンプルについては、こちらの記事で解説しています。 
さて、デザイン企画のデジタル化プロジェクトの立ち上げには次のような3つの段階に分けて進めていきます。
 
ここからはフェーズごとに詳細を見ていきたいと思います。
 

フェーズ1:専門チームの編成

 
デジタル化プロジェクトを実践すると同時にノウハウを蓄積し、社内で運用するにあたってのワークフローを構築するためにも、専門チームの立ち上げは重要です。ここで専門チームに所属する人は“スーパーユーザー”とも呼ばれ、スーパーユーザーの方々は、後のフェーズにおいて社内の他の現場スタッフにバーチャル運用を促進していく、という役割も担います。
 
 
専門チームの立ち上げは、企業の規模に関わらず、社内でのデジタル化プロジェクトの運用に不可欠です。もし会社の規模が小さく、チームを立ち上げるほどの人数がいないという場合でも、メインで担当するスタッフを1~2名設け、そこで運用方法を固めた上で、その他のスタッフに浸透させていくというのが成功の鍵です。
 
また、SDS®-ONE APEXシリーズはニット製品の企画に強みを持つソフトウェアです。ニットの3Dバーチャルサンプリングに取り組む際も、専門チームにパターンナーとデザイナーを含めることをおすすめします。ニット製品向けのパターンナーが自社にいない場合は、布帛製品など他の分野のパターンナーに参加してもらうと心強いです。他社ソフトの使用経験がある方や学校などでパターンの勉強をされてきた方も、重宝されますね。また、ニットプログラマーなど、ニットの知識を持ったメンバーもいると、より強いチームワークが期待できます。
 
チームが結成できたら実際にバーチャルサンプリングの運用テストをおこない、社内でのワークフローを確立していきます。生産側とのデータ連携についても、運用テストの段階で検証を行い、新しい指示書の作成方法のワークフローなどを決定しておきます。生産側とのデータ連携については前回の記事でご紹介しました。詳しくはこちらをご覧ください。
 
 

フェーズ2:専門チーム以外への社内教育

プロジェクトチームによってワークフローを確立したら、次に専門チーム以外の社員への教育が必要となります。社内教育では、バーチャルサンプルの作成方法を周知するに留まらず、社内の意思統一をおこなうことも重要です。

デザインソフトの操作を学習する以前に、バーチャルサンプルを活用することのメリットや運用に関する社内方針などを全社で共有することで、今後の運用が滞りなく進み、このステップがプロジェクトを成功に導きます。

社内でバーチャルサンプルに関する意思統一ができたら、実務をおこなうデザイナーやパターンナーに操作の教育をおこなっていきます。SDS®-ONE APEXシリーズの操作習得には、島精機製作所のeラーニングシステム「SHIMANAVI®」がとても役立ちますが、詳細は後ほどご紹介します。

また、フェーズ1で編成された専門チームがスーパーユーザーとして他の社員の学習サポートをすることで、社内全体のスキルアップも見込めます。 

フェーズ3:会社全体での運用開始

いよいよ、社内での本格的な運用を開始していく段階にきました。運用スタート後も現場のスタッフが操作でつまずいてしまうケースがあるため、プロジェクトチームのスーパーユーザーは操作のサポート役として全体をフォローしていきます。

なお、社内全体でバーチャルサンプリングを運用するにあたって、「デジタルアセット」の活用がおすすめです。例えば、シミュレーションで使用する糸や柄のデータをライブラリ化し、社内で共有しておけば、各スタッフの作業効率を高めることができます。このような社内で使用するデジタルアセットの構築も、スーパーユーザーが中心となって進めることで、チームワークの発揮に繋がります。

また、これらのデジタルアセットは、SDS®-ONE APEXシリーズを活用している社外の取引先とも共有することで、社内外でスムーズにデジタル化を拡大していくことができます。 

下記資料では、ここまでご紹介した、社内のワークフローにバーチャルサンプルを取り入れてデジタル化を促進するためのステップが簡潔にまとめられています。ぜひダウンロードしてご活用ください! 


 

Cobalt Fashionの事例に見る、バーチャルサンプリングを社内のワークフローに取り入れる方法

ここまでバーチャルサンプリングを社内のワークフローに取り入れる際のプロジェクトの立ち上げ方を説明しました。ここからは、プロジェクトが上手く軌道に乗り、大きな効果が出たCobalt Fashionの事例を紹介します。

Cobalt Fashionは香港にあるアジア最大級の繊維商社、L&Fグループの傘下にある企業で、ニット製品を専門に扱う商社です。欧米のアパレルを中心に、世界各地のお客様からオーダーを受け、ニット製品の開発、および協力工場での量産の請負までをおこなっています。Cobalt Fashionでは、ニット製品を開発するにあたって、バーチャルサンプリング用のラボを設立し専任のデジタルチームを立ち上げました。

Cobalt Fashionで活用されているデザインシステムSDS®-ONE APEXシリーズ
 
Cobalt Fashionでは、最初のサンプル(1stサンプル)は必ずバーチャルサンプルを使用することで、2ヶ月要していたサンプリング全体の工程をわずか2~3週間まで短縮できるようになりました。作業の効率化のみならず、無駄なサンプルを作らない、サステナブルなモノづくりが実現されています。
下記に、Cobalt Fashionインタビュー動画があります。
 
 

今回はCobalt Fashionを一例として取り上げましたが、他にも様々な企業でSDS®-ONE APEXシリーズを使ったバーチャルサンプル作成のプロジェクトが進められています。

 

社内教育をお助けするウェブサービス

ではここで、スーパーユーザーと現場スタッフの操作習得に役立つツールとお伝えしたeラーニングサービス、SHIMANAVI®について、詳しくご紹介します。
 

SHIMANAVI®(島精機製作所のeラーニングサービス)

SHIMANAVI®は、島精機製作所のSDS®-ONE APEXシリーズ向けのeラーニングシステムです。業種に応じて様々なコースが用意されており、自分のペースで講習を受講することができます。こちらは提供されているコース一覧です。

コース紹介

ニットデザイン 3Dニットデザイン 3Dパターンメイキング
丸編みデザイン 織物デザイン タオルデザイン
プリントデザイン eコマース向け画像作成 3D靴下デザイン

デザインソフトの使用用途に応じて受講コースをピックアップし、講師の音声解説付き動画で学習していきます。3Dバーチャルサンプリングを始める場合は、ニットデザインコース、3Dニットデザインコース、3Dパターンメイキングコースの3つのコースを受講すると良いでしょう

◯ニットデザインコース
組織柄やジャカード柄の作成など、ニットデザインの基本的な操作を学びます。
◯3Dニットデザインコース
セットインやラグランなど基本的な型紙の作成とそのフィッティングをおこない、さらにそこに組織柄などのデザインを加える方法を習得します。
◯3Dパターンメイキングコース
3Dニットデザインコースで学んだ基本的な型紙に、フリルやポケットなど、ディテールを付け足して様々なスタイルを作成する方法を学習します。
 
 
さらに、デジタルアセットのひとつとして、yarnbank®の活用もおすすめです。
 

yarnbank®

yarnbank®定番から最新の糸、トレンドまで、世界中の糸情報が集約された、ユーザーと糸サプライヤーを結ぶWEBサービスです。yarnbank®に掲載されている糸のほとんどは、バーチャルサンプリングに活用できるデータとして提供されており、なんと無料でダウンロードできます。実在する糸を使って商品企画を進めれば、生産側とのやりとりもよりスムーズに進められます。

気に入った糸があればWEBサイトから糸メーカーに問い合わせて糸を購入することもでき、今後ますます活用の幅が広がりそうです。

 

まとめ資料プレゼント

ここまで、バーチャルサンプリングを社内のワークフローに取り入れるためのノウハウを事例を交えながらご紹介してきました。ここで、社内での運用を本格的にご検討されている場合に、職場での説明にも役立つ今回の記事のまとめ資料をプレゼントします。ぜひ、下記からダウンロードして、バーチャルサンプリングのデジタル化プロジェクトの立ち上げにお役立てください。 
 

 
 

さあ、はじめよう。デジタル化は会社と人を育てる立役者。

社内で新しい取り組みを始めるには、多くの労力と時間が必要です。はじめの一歩がなかなか踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。しかし、長期的な視点で考えるとデジタル化により業務効率や生産性が向上するのは間違いありません。提案力アップにもつながります。

また、新たな業務フローの構築をきっかけに、従来の社内業務を一度可視化できるというメリットもあります。無駄な作業は発生していないか、統合できるフローはないかなど、コスト意識をより高めることもできるのではないでしょうか。これは現場で働く人のみならず、マネージャーにとっても良い機会かもしれません。

社内で専門家を育てることでスーパーユーザーが誕生し、社内研修の充実化によりチームワークがよくなると、会社全体の士気も高まっていきます。最先端のツールを選び、常に新たなことにチャレンジする勇気が、今のアパレル・ファッション業界には必要なのかもしれません。

 

SDS®-ONE APEXシリーズとは?

最後に、SDS®-ONE APEXシリーズについて簡単にご紹介しておきます。
SDS®-ONE APEXシリーズは、島精機製作所という横編機メーカーが開発した、横編み、織物、プリント、丸編み、タオル、刺繍などのテキスタイルデザインや柄、配色の作成、シミュレーションに特化したソフトウェアを搭載するデザインシステムで、ファッション業界をはじめ、様々な業界で活用されています。
 
本文中に何度も登場したバーチャルサンプルの作り方について気になった方は、下記もご覧ください。
 
 

SDS®-ONE APEXシリーズのサブスクリプションサービスAPEXFiz®

SDS®-ONE APEXシリーズから、サブスクリプションサービス「APEXFiz®」のご紹介です。SDS®-ONE APEXシリーズと同様、企画・デザインから配色検討、リアルなファブリックシミュレーション、製品の3Dバーチャルサンプルまで作成可能。企画側と生産側をデジタルで繋ぎ、リードタイムの短縮と環境に優しいモノづくりを実現します。
 
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APEXFiz®の開発秘話はこちら。 

ファッション業界のデジタル化に役立つノウハウを一挙公開!<シリーズ全6回の概要>

wearwareでは、ファッション業界のデジタル化を促進するためのソリューションを全6回のシリーズでご紹介しています。今回はシリーズ第3回目をお届けしました。ぜひ他の回の記事もご覧ください。
 
さらに、全6回のウェビナー動画の閲覧と資料のダウンロードは下記サイトよりお申込みいただけます。
 
 
 
第3回目のまとめ資料は、下記からダウンロードしてご覧ください。